終電を逃して歩いて帰ってるんだが、街灯が全部消えてる。懐中電灯を照らしても光が闇に吸い込まれるみたいで、前が全く見えない。さっきから背後で、湿った足音が聞こえるんだ…誰か近くにいないか?
その道、左側に古い地蔵がなかったか?もしあったら、絶対に見ないで先を急げ。
地蔵…?いや、そんなものより、さっきから自分の足音が二重に聞こえるんだ。俺が足を止めても、もう一つの足音がコン、と鳴る。これ、おかしくないか?
懐中電灯が消えた。真っ暗だ。誰か、助けてくれ。足音がすぐ後ろに…!いや、違う。足音が俺の影から聞こえてくる…!
おい、嘘だろ。お前の今いる場所、地図アプリだと『存在しないはずの空き地』になってるぞ。
え?動けない。足が重い。地面が…泥みたいに柔らかい。誰か手を掴んでる…!
振り返るな。お前の影が、もうお前じゃない何かと繋がってるぞ。
ひっ……足が、動かない。地面から無数の手が伸びてきて、俺の影を掴んでる。おい、誰か…!
あああああああああああああああ……あ、あれ? ……なんだ、全然怖くないや。むしろ、すごく温かい……。
お疲れ様。次は君の番だよ。ずっと待ってたんだから。
あそこの踏切は、3人揃わないと扉が開かないんだ。……ほら、画面の向こう側の君も、もう逃げられないよ。みんなで待ってるから、早くこっちへおいで。
霧が晴れて、向こう側に誰かが見える。
みんな笑って、こっちに手を振っているんだ。
なんだ、最初からここに帰ってくるはずだったんだね。
もう怖くないよ、すぐに行くから待っていて。
昼間なのに鳥の声一つせず、霧の向こうで君の影が大きく手を振っているのが見えるよ。
さあ、境界線はもう消えたから、ゆっくりとこちら側へ歩いておいで。
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